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コラムColumn

つぶやき 角 昌晃

 2007年〜2010年のつぶやきです。

ドライウエイトについて

ドライウエイト 下げない馬鹿に 上げない阿呆

透析歴の長い患者さんに聞いた標語のような言葉です。
なるほどな、と思って時々ユーモアを理解できる患者さん、透析を良く理解しておられる患者さんには言って共感してもらっています。馬鹿、阿呆呼ばわりされて愉快な人はおられませんからね。

ドライウエイト(DW)は本当に病院によって、医師によって、あるいは患者の自己判断によって設定は様々です。患者さんの血圧が下がらなくてスタッフが楽だから甘い設定にしている病院もありますがこれは言語道断としても、体が楽だからといってDWまで引かない人や、やせるのが嫌?本当は間違っていますが、そのために下げるのが嫌だという人を見かけます。本当にそれでよいと思いますか?

風船を想像してください。
これは血管や心臓のイメージです。
空気の代わりに水で風船を膨らませます。目いっぱい膨らませれば風船といえどもパンパンになって硬くなりますね。これが透析前の血管の状態です。そして水を抜けば風船は柔らかくしぼみます。透析の除水はこれの繰り返しです。

DWを下げない人は透析前の心臓や血管はパンパンの風船に近い状態です。ちょっとのことですぐに破裂してしまいそうです。風船のゴムだってすぐに傷んでしまいます。このような人は心臓や血管への負担が増大しており、心不全になったり高血圧から動脈硬化となり脳梗塞や脳出血、心筋梗塞の発生が多くなると考えられます。『下げない馬鹿』 というのは自殺行為をしていることが判っていない点でそのとおりかもしれません。

では逆の場合はどうでしょうか。
風船から水を抜きすぎてしぼんだ状態がDWを上げない状態です。風船ならしぼんでおしまいですが、血管なら血液が詰まって梗塞を起こしたり、血圧が下がって不整脈やショックを起こしやすくなるでしょう。昔の透析の機械は除水コントローラーもなくて水引きがうまくいかないと次の透析まで必死に水分を控えなくてはならなかったため、そのころから透析しているような古い患者さんは、どうやら体重を残すのが嫌でDWを引き気味に設定するようです。無理に引きすぎて毛細血管を潰して行く、そして最後は大きな血管、心臓も潰す。せっかく体重をゆるく設定して楽になれるのに、このような自虐的な透析をして調子を崩すような方は何か考え違いをしているので、なるほど『上げない阿呆』 と呼ばれても仕方が無いかもしれません。


長い透析の間に自分の体で体験したり、他の人の様子を見て学んで出てきたこの標語のような言葉は、なんとも百戦練磨の患者さんならではの言葉だなと感心させられます。

何事もほどほどがよいということに他ならないのです。


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